「AIフル活用オンライン授業」への挑戦 —— 1対1の日本語支援で見えた新しい可能性

私たちのNPOでは、外国人との共生を推進する主要な活動の一つとして、日本語学習支援を行っています。今回は、その中で新たに取り組んでいる試み、「AIをフル活用したオンライン授業」についてご紹介します。

■ 毎晩30分、真剣勝負のマンツーマン

現在サポートしているのは、日本での生活向上を目指す中国人の女性です。彼女の日本語レベルはN3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル)と決して初心者ではありません。さらなるステップアップを目指し、毎日夜に30分間、1対1のオンライン授業を行っています。

「たった30分」と思われるかもしれませんが、毎日の継続は教える側にとっても教わる側にとっても、決して楽なことではありません。限られた時間の中で最大の効果を生むために、私たちはChatGPTやGeminiといった最新の生成AIを「教具」として導入しました。


■ 授業の質を変えた「AI」というパートナー

「AIフル活用」といっても、AIに授業を丸投げするわけではありません。むしろ、準備段階から授業後のフォローまで、AIはあくまで「優秀な助手」として活躍しています。

特に効果的だったのは、活動開始前の「カウンセリング案」の作成です。学習者の目標や現状のレベルをAIに入力し、最適な学習ロードマップを設計させることで、非常に精度の高いカリキュラムを組むことができました。

授業中もAIはフル稼働です。例えば、最近扱った「拾う」という動詞。日本語には「ゴミを拾う」「タクシーを拾う」「声を拾う」など、文脈によって意味が広がる言葉が多くあります。これを言葉だけで説明するのは大変ですが、画像生成AIを使ってそれぞれのシーンをイラスト化することで、ニュアンスを一瞬で伝えることができました。 また、発音矯正のための「影子跟读(シャドーイング)」という練習法を説明する際も、AIに適切な中国語訳やわかりやすい解説を作成させることで、スムーズな理解を促すことができています。

■ 「教える側がまず考える」ことの大切さ

AIを利用する上で私たちが最も大切にしているのは、「教える側がまず考える」という姿勢です。AIは答えを出してくれますが、それを目の前の学習者にどう届けるか、その温度感を決めるのは人間です。 「この説明で彼女に伝わるだろうか?」「今の表情は理解できていたかな?」 そうした機微を感じ取りながらAIツールを使い分けることで、デジタルな技術を使っていても、以前より温かみのある授業ができていると感じています。


■ 確かな変化と今後の展望

この取り組みを始めてから、受講生の日本語、特に発音が以前よりもはっきりと良くなってきました。毎日の積み重ねと、視覚・聴覚をフルに使ったアプローチが実を結びつつあります。

現在は1対1の活動ですが、今後はこの「AI×人」による支援モデルを仕組み化し、より多くの学習者に質の高い日本語支援を届けていきたいと考えています。

また、この取り組みについては、異文化間教育学会 第47回大会での発表も予定しており、現場での実践をどのように整理し、共有していくかを検討しています。

テクノロジーの力で、言葉の壁をもっと低く、もっと自由に。私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。


NPO法人名古屋外国人共生支援協会

Nagoya Foreigners Symbiotic Support Association 共に生きる社会を